感謝した
星新一の小説に「愛用の時計」というお話があるBordeaux Wine。
長いこと大切に使っていた愛用の時計が、とある人生の大切な瞬間に初めて狂ってしまう。
主人はその裏切りに怒り悲しむが、実は・・・
僕の好きな話の一つである。
腕時計が止まってしまったPolyu faculty of business。
長年掃除もせずに働かせ続けたのが原因か、はてまた単なる電池切れか。
朝の出勤時に止まってしまい、どうしようか思案したのだが、とりあえず100円ショップで購入した腕時計でその日1日は乗り切る。
最近はこうした対処が可能だ。
便利な世の中になったものである。
僕の腕時計は特に高級なわけでもない。
オメガでもセイコーでもましてやロレックスでもない。
買えばせいぜい3000円程度のものだろう。
昨今では修理に出すよりも新しいものを買ったほうが安かったりもするsingapore business formation。
しかし、取り換えるつもりはなかった。
3000円程度の「ものだろう」と記したのは・・実は買ったものではないからだ。
昔、中学校の先生をしていた時の教え子の結婚式に出席した際に引き出物としてもらったものなのだ。
いわゆるカタログギフトではあるが、僕はこうした際に必ず毎日使うものを選ぶようにしている。
モノというのは使ってこそ価値があると思うからだ。
(高くついても修理して使おう)baby bed
というわけで、僕は町の「時計屋」さんへ向かった。
時計が壊れたとき、最近は家電量販店や百貨店の中にある時計専門店などに修理を依頼する人も多いと思う。
すると、たいていは引換証とともに預かり修理となり、何日か後に取りに行くというパターンだ。
我が家の隣の駅の商店街に昔ながらの小さな時計屋さんがあるのを知っていた。
昭和の香り色濃く、いつ見てもお客さんがいるのを見たことがない。
(こんなんで商売やっていけるのかなぁ?)
などとよけいな心配をいつもしていた。
今回、僕はそのお店を訪ねてみた。
入口というよりは「玄関」といった風情の扉を開ける。
やや薄暗い店の中には誰も見当たらない。
「すいませーん」
声をかけると奥の部屋からご主人が出てこられた。
「これ、動かなくなっちゃったんですけど、電池切れでしょうか?」
僕が時計を差し出すと、ご主人は無言で時計を受け取り、そのまま椅子に座った。
そして、あの「片目」で挟む独特のルーペを使い、僕の時計を分解し始めた。
僕はその様子を興味深く眺める。
(職人さんだ・・・)
分解が終わるピンセットで電池を取り出しテスターにかける。
かすかにうなずく様子を見るとやはり電池切れのようだ。
ご主人は新しい電池をピンセットでつまむと、丁寧な仕事で機械の中におさめ、最後にこれまたテレビドラマの中でよく見るように、大きめのスポイトのようなもので機械に風を吹きつける・・ほこりをとっているのだろう。
そして、最後に小さな「はけ」のようなもので優しく機械をなぜると再び組み立てに入った。組み立てが完成すると仕上げに特殊な小道具で竜頭を巻き、時刻を合わせてくれた。
僕は5分間のショートムービーの脇役になった気分で、この見事な「ショー」に見とれていた。
「はい」
その間約5分・・
ご主人は終始無言だった。
僕は心から感心してその様子を眺めていた。
「無言」も決して不快なことなく、逆にわずか5分で動かなかった時計を生き返らせてくれたことに感謝した。
こうした町の職人さんはきっと少なくなっているに違いない。
(出来るだけ長く・・お店続けてほしいな)
僕は生き返った腕時計にさわやかな気持ちになりながら秋の町の中に出て行った。